授業紹介 -フォトグラフィ-
2010年、6年生からハワイの Punahou School に通い、卒業後は日本の大学の国際教養学部に通っています。ハワイでの高校生活や、普段の生活を通して感じた事、体験した事をみんなとシェアしたいと思います。
今回も、プナホウの少し風変わりな授業を紹介したいと思います。
美術 or 音楽
プナホウの高等部を卒業するためには、美術または音楽の授業を2年分履修する必要があります。私のように音楽が壊滅的に下手で、授業となるとストレスしか感じない生徒にとって、美術か音楽を選択できるのは嬉しい制度です。私は卒業まで音楽の授業は一つも履修しませんでした・・・(笑)
美術も必要最低限の2年分しかとりませんでしたが、4年間通して美術の授業をスケジュールに詰め込む生徒もいます。私も美術やアート関連は好きなのに、どうしてもっと取らなかったんでしょう?今振り返ると少し不思議に思います。
美術の授業にはたくさんのオプションがあります。典型的な油絵、スケッチから彫刻、陶芸、写真、ガラス工芸などもあります。私は写真とガラス工芸を選択しました。ガラスの授業に関してはまた今度、別の記事で紹介しますね。
写真の授業は楽??
いきなり余談ですが、「プナホウのカメラの授業は、高等部の選択授業では楽な部類」といつも噂されています。実際には、楽なのは最初の1学期に受ける入門クラスだけです。それを知らずに楽をしようと履修する生徒は、大半が辞めていき、最初は50人ほどいるクラスメイトが最終的には15人程度になります。
噂には用心しましょう。
私は元々写真に少し興味があり、一番仲のいい友達と近所を撮影していたので、「趣味で単位が貰える!」みたいな感覚で履修しました。友達が結構沢山いたのも嬉しかったです。
どんな授業?
授業ではカメラをマニュアルで使うための知識、実際に写真を撮る際のテクニックを学び、テーマ毎のサンプル写真をインスピレーションと参考として発表します。1つの学期で課されるテーマは合計6つです。授業外に生徒が写真を撮り、フォトショップを使って加工し、印刷して提出します。
テーマは「パステル対ビビット」、「自分が思う空想世界」、「人物画」、「空に向かって」など、具体的なものも抽象的なものもあります。
更に、テーマとは別に毎回使うべきテクニックも指定されます。ちょっと専門的な話になりますが、例えばシャッタースピードを大幅に変えて同じ被写体を3回撮る、「1/3のルール」という、写真を3×3に区切った時に真ん中ではなく、線が重なり合う所に被写体を置くテクニックなどです。
テーマを自分なりに解釈して写真を撮るのも難しいのですが、一番大変なのは提出期限です・・・。1学期と言っても実質4ヶ月位しか授業が無いので、その期間中に6つのテーマの写真を提出するとなると、結構忙しいです。
提出期限が近くなるにつれ、写真クラスのコンピュータルームを利用する生徒も日に日に増えていきます。写真の加工と印刷は結構時間がかかるのに、みんな(私含めて)ギリギリでやりたがるので、きっと先生にとっては毎年見慣れた光景だったのでしょうね(笑)。
中々ハードなスケジュールになるのは確かですが、放課後などに写真を撮ってきて、写真専用の紙にインクを惜しみなく印刷して、出来上がった写真を見るのは嬉しいです。1学期に2回展示会も行われるので、図書館に自分の写真が飾られているのを見るとより嬉しくなります。
成績評価
美術なので成績評価は少し曖昧な所もありますが、評価の約6割は、全ての課題を期限までに提出したか、写真の後ろに記入するシャッタースピード、レンズの口径、ISO感度(写真フィルムがどの程度弱い光まで記録できるかを示す規格)等の情報が指示に沿っているかを元に判断されます。
残りの4割はテーマに沿った写真が撮れているかが評価の対象なので、場合によってはネゴシエーション(交渉)が必要になります!作品と一緒に提出する解説文を含めて、どのように解釈して写真を撮ったのかを理解してもらえれば、正当な評価をもらうことができます。
生徒が従来と変わった解釈をした場合や、先生が納得できない場合は説明と交渉になります。でもそこはちゃんと美術の先生、自分の熱い想いを伝えて交渉すれば、大概良い評価をもらうことができます。せっかく自分が何かを感じて撮った写真なので、他の人にも分かってもらえるように頑張りましょう。
合宿があります!
4月上旬には「イースターウィークエンド」という、イースターの週末の金曜日が祝日になる3連休があります。そこを使って、写真のクラスは離島に合宿に行きます!参加は任意ですが、写真を撮りながらみんなで楽しく過ごせるので、例年参加する生徒は多いです。
私が履修した時はラナイ島とカウアイ島に行きました。島についてからは、美術の先生たちの運転で移動します。島内を巡って写真を撮り、友達と車内で騒いで、みんなで現地の人気レストランで食事をとり、夜はキャンプファイヤーを囲んで話して、テントでトランプして寝る、という感じのゆるい合宿です。離島を冒険するのはワクワクしますし、ハワイの島、特に離島は自然が多いので写真の被写体として興味深く、綺麗な景色がたくさんあります。島によって雰囲気も違うので、それを肌で感じられるのもいい経験になります。
合宿後は参加者全員が旅で撮ったお気に入りの写真を提出して、先生がその中から選定して作ったアルバムも貰えます。私は2回分とも大切に家に保管しています。綺麗な写真ですし、旅の思い出にもなりますからね。
他にも・・・
私が履修したのはデジタルカメラの授業でしたが、フィルムカメラを使って写真を撮る授業もあります。学校にフィルムを現像する暗室もあるので、フィルムカメラを持っている、または興味のある人には最高の環境が整っていると思います。
プナホウの写真クラスは楽な授業と名高いですが、実際に履修してみるとそうでもなく、大概課題に追われることになります。でも写真はチャレンジしやすいアートだと思うので、やってみるのもいいと思います。合宿もありますしね!
「写真なんて誰でもできるから」と、写真を芸術とみなさない人もいますが、各々が見ている世界は少しずつ違います。それを写真を通して比較するのは面白いと思います。それに、馴染み深いアートなのに、自分の見ている世界をレンズを通して切り取ってみせることで、何かを伝える事が出来るのは、写真のとても素敵な所だと思います。