期末試験

2010年、6年生からハワイのPunahou School に通い、卒業後は日本の大学の国際教養学部に通っています。ハワイでの高校生活や、普段の生活を通して感じた事、体験した事をみんなとシェアしたいと思います。

アメリカの定期試験は、日本で行うテストと少し方法が違います。選択問題が少なく、暗記問題より応用問題が多く、エッセイスタイルとオーラルスタイル(口頭)の試験が多いです。更にプナホウでは進学校ということで一つひとつの試験が難しいので、試験はとにかく大変です。

筆記試験

冒頭でも書いたように、選択問題はあまり多くありませんが、ほとんどの生徒が嫌っている出題形式です。「答えがもう紙面に載っているのだから」と問題の難易度が大幅に上がるからです。先生達曰く、間違った選択肢を考えるのも頭を使うとか・・・。その上選択と言っても5〜6択、場合によっては8つも選択肢が並んでいるので全然優しくないです(苦笑)。

選択問題は大抵、他の形式の問題と組み合わせて出されます。よくある例は、1時間で60問くらいの選択形式のテストと、それとは別に他の形式のテストが行われ、選択問題のテストは試験全体の6割としてカウントされるケースです。

エッセイや記述式の試験問題は文系理系共に見られます。中でも歴史のテストに多いですが、言語科目や科学系の科目でも行われます。

歴史のテストでは、表示されている古い写真を自分の解釈で説明する、提示された8つの事実のうち7つを使って1つの出来事を説明する、エッセイのトピックを与えられて、今まで習った歴史の知識を使って考察する、などの問題が多く出題されます。

科学の授業では架空の事例を提示されて、自分の知識を使って仕組みを説明して結論を出す、または、提示された事象に対して実験を提案するような問題が多いです。例としては、丸太に生息するアリが影の方に多く生息する理由を推測し、それを証明するための実験を提案してまとめる、等がありました。

試験のスタイル – 口頭試験

外国語の試験スタイルですが、オーラル、すなわち「どれだけ該当言語で話せるか」を見る試験になります。

先生が予め15個位のトピックを用意するので、生徒はトピックに沿って話せるように試験前に準備をします。実際の試験は1人10分の枠で、先生がランダム選んだ3〜4つのトピックについて、先生と会話をします。

オーラルスタイルの試験は確かにストレスが大きいですが、言葉を学ぶ上で会話はとても重視されており、生徒もその重要性を理解しています。世界には識字率が100%に近い国や地域ばかりではないので、文章よりも会話がコミュニケーションの要になることも多いです。また、このテストで「自分は意外と話せるんだ!」と実感することもできます。

この形式は15分単位の個別試験なので、自分の時間だけ教室に行けば大丈夫です。それでもみんな不安なので、教室のすぐ外に集まって、一緒に練習したりお互い励ましあったりします。誰かが出てきたらすぐに「どうだった!?」と聞きます。みんな同じ状況に立たされていて、かつ試験中は1人で頑張らなければならないからこそ、裏で生まれる結束感があります。

日本と少し違うかも

試験について日本と違う点は他にもあります。例えば、数学の授業はレベルが上がるにつれ、試験でも関数電卓を使うことが許可されるので(むしろ電卓無しで問題解くのは至難の技です)、問題が求めることも変わってきます。

最初の内は公式を覚えて数字を当てはめれば答えられる問題がほとんどですが、進級するにつれ、問題の解釈、解決共に難易度が格段に上がっていきます。要するに、電卓を使えるので扱う数字が難しくなり、公式を2、3個使わないと答えに辿り着かないような問題が出されるようになります。正解の答えも「481/17」等、合っているか自信が持ちにくい答えが設定されています。

試験から解放された直後に、生徒達が一斉に答え合せをする様子もお馴染みの光景です。

また、ほとんどの試験は未だに紙と鉛筆で受けますが、プナホウではエッセイが多い試験、例えば1つの試験で3〜5つもエッセイを書かなければならない歴史などの試験では、最近積極的にパソコンを取り入れています。

ロックダウンブラウザというアプリを使うと、生徒が自身でテストを提出するか、時間切れで自動的に提出されるまで、パソコンの他の機能を使用することができなくなるので、これを使って試験が行われます。試験開始前に試験監督が全員アプリを起動していることを確認するので、カンニングは難しいと思います。

パソコンを使ったエッセイ試験は、当然ながら生徒にも人気があります。手書きでいくつもエッセイを書くと腕と手がとても痛くなりますし、パソコンを使った方が早く書けるのでストレスが軽減するからでしょう。

最後に、数学や科学のテストでよく行われるのですが、「カーヴ」という平均点を底上げする制度があります。アメリカでは「B」が標準評価として扱われるので、テストの平均点を「B」とし、それに伴って他の点数の評価も左右される、という制度です。例えば、通常は81点以上89点以下が「B」評価ですが、とても難しいテストで平均点が70点だった場合、70点が「B」、85点でも「A」、55点でも「C」が貰える、というように調整されます。いわゆる相対評価です。上級クラスでテストが難しくなってくると頻繁に行われます。

最後に・・・

日本の高校の定期試験とは違う所がいくつかあったと思います。日本の友人に話すと、計算機の下りなどは特に驚かれますね。試験の話はあまり面白くない上に説明が若干難しいので、読みにくかったかもしれませんが、「授業スタイルが違うと試験のスタイルも変わってくるのだな」位の気持ちで解釈してくれると嬉しいです。

どの国の生徒も試験は好きではないものだと思いますが、みんなが一度は必ず通ってきた道なので、結束感も生まれやすい制度だと思います。他の人を助けることで自分の理解も深まり、自分が大変な時にも助けてもらえるので、プナホウでは生徒同士の助け合いがよくあります。試験範囲が全く理解出来ないクラスメイトが多い時は、みんなでカーヴを大きくしたりしました(笑)。

このような協力は、みんなで一緒に学んでいるからこそ出来る事です。
例え時に動機が不純でも、生徒間の繋がりを大事にしているプナホウでこういったことが起きているのは、プナホウが掲げている「学校とクラスメイトはオハナ(家族)」というモットーがしっかりと浸透している、という事でしょう。