行事紹介 -Triennial(トレニアル)-

2010年、6年生からハワイの Punahou School に通い、卒業後は日本の大学の国際教養学部に通っています。ハワイでの高校生活や、普段の生活を通して感じた事、体験した事をみんなとシェアしたいと思います。

プナホウの敷地内には、独立したダンス棟があります。ダンススタジオがあり、体育の授業で使われることもありますが、主に放課後のダンスレッスンを行う場所です。その建物や中で行われるレッスンを含めて、全体をダンススクールと呼んでいます。ダンススクールを管轄するスクール長は小柄な女性ながらとても厳しく、別名「ドランゴンレディ」とまで呼ばれています。

「ドランゴンレディ」の厳しい指導のもと、プナホウ・ダンススクールが3年に1度発表する「Triennial(トレニアル)」 というパフォーマンスは、かなりレベルが高く仕上がります。

どんなパフォーマンス?

「Triennial」はダンススクール全体で作り上げるパフォーマンスなので、当然色々なジャンルのダンスによって構成されます。その様々なジャンルのクラスがそれぞれのパフォーマンスを披露し、1つの物語を作り上げます。
ナンバーに統一性をもたせたり、それぞれのクラスがパフォーマンス全体の物語に貢献できるように配慮するのは、各ダンスクラスの先生とスクール長です。

例えば、「Triennial」 のテーマが「白雪姫と双子のレッドローズ」だとします。(著者権の事情で、微妙にストーリーを変えることもよくあります。)「中級バレエA」のクラスは「魔女の操る黒魔法」、「上級ストリートIIB」のクラスは「夜の森」、というように物語を構成する場面を割り振り、全体を通して1つの物語になるように組み立てます。

ダンスのジャンルはバレエ、ジャズ、ストリート、タップ、ミュージカルとそれほど多くはありませんが、細かなレベル分けがされており、総クラス数は結構多くなります。
それらのクラス全部がパフォーマンスに参加するため、各ダンスナンバーは短く、ナンバー毎のテーマも「蛍」や「秋の季節」など、より細かいものになりますが、どれもパフォーマンス全体の大事なパーツの1つです。

上でも挙げたように、「Triennial」で発表する作品はファンタジー系が多いです。私がプナホウに在籍していた間はアリス、白雪姫、そしてオーロラ姫の物語に少しずつオリジナル要素を加えたものを発表しました。

発表まで

3年に1度、それもダンススクール全体で、となると大きいプロダクションのように聞こえますね。実際にそうなのですが、準備期間は恐ろしく短いです。

プナホウ・カーニバル後の2月頭から4月下旬までの、たった2ヶ月弱です。最後の2週間は怒涛の追い上げで、ステージリハーサルとドレスリハーサルをほぼ毎日、分刻みのスケジュールでこなします。

パフォーマンス回数は全部で6回、2回の週末に渡って発表されます。

3年に1度のイベントという事で出演する側にも気合が入りますが、観客として心待ちにしている人も多いようです。「Triennial」を観るためにはチケットが必要で、出演するダンサーは最高で6枚までチケットを貰うことができます。残りは学校関係者の購入枠と完全なパブリック販売となります。パブリック販売が毎回早々に売り切れる事から、需要の高さが分かります。

最後に

どのジャンルのダンスであっても、レベルが上がるにつれ、週3回ほど練習する事が推奨されます。ただ、1つのクラスは通常週1回だけなので、レッスンの回数を増やすために複数のクラスに在籍している生徒も多いです。
「Triennial」ではクラス毎にダンスナンバーを1つ任されるので、そういった生徒は必然的に出演回数も多くなります。さらに、他のジャンルも並行して習っている生徒はクラス数も多い分、もっと出番が多くなります。

例えば、上級バレエと上級ストリートを習っている人は、最高で5〜6個のダンスに出ることもあります。色々な振り付けを覚えて発表するのは楽しいですが、全てのダンスの完成度を高める負担と、ダンス毎の衣装変え等も大変になるので、ここまで出演する人はそう多くありません。

練習期間中も他の授業は通常通りあるので、膨大な練習と学業を両立させるのは大変ですが、やりきった達成感と、見に来てくれた友達や家族に褒められる幸福感はダンサーなら誰でも知っている感情でしょう。