行事紹介 – Holoku(ホロク)-
2010年、6年生からハワイの Punahou School に通い、卒業後は日本の大学の国際教養学部に通っています。ハワイでの高校生活や、普段の生活を通して感じた事、体験した事をみんなとシェアしたいと思います。
「May Day(メイ・デイ)」 という祝日をご存知ですか。5月の第1月曜日に行われる、春祭りみたいなものです。ハワイでは、大切な人にレイを渡して感謝を表す祝日である「Lei Day(レイ・デイ)」 も5月1日であるため、年によってこの2つの祝日が重なる事があります。
この2つの祝日の日程が近いことから、ハワイでは「May Day」でも伝統的なフラやハワイの花を使った飾りや衣装を使って祝います。
プナホウ・アカデミーでは「May Day」 は「Holoku(ホロク)」 と呼ばれる、様々な種類のフラダンスで構成されるショーでお祝いします。
因みに「Holoku」はハワイの伝統的な女性用衣装を指すハワイ語ですが、どうしてこの言葉がダンスショーに使われているのかは残念ながら分かりません。
3ヶ月間の練習
プナホウの小学部では「May Day」参加は必須ですが、中等部からは希望する生徒だけになります。素晴らしいイベントなのに参加を躊躇する生徒が多いのは、やはり長い練習期間のせいでしょう。2月の初めから本番の5月まで、練習はダンスの種類毎に1週間に1度あります。
これはどういう事かと言うと、例えば12年生が参加を申し込んだ場合、「12年生フラ」の参加が確定します。場合によっては「12年生カップルズ(男女2人組で踊るフラ)」にも登録されます。さらに、サモアダンスに興味があったとしてこちらにも登録すると、登録したダンスは3つ。そして3つとも1週間に1回練習があります。合計で週3回ダンスの練習があるという事になります。因みに私が12年生の時、最初で最後の参加の際にこのスケジュールになりました。
3ヶ月間、1つのダンスだけでも毎週レッスンがあるため、忙しい生徒が参加を迷うのも無理はありません。それでもハワイの伝統的な行事に友達と参加して、みんなでダンスを作り上げるのは良い思い出になるため、毎年とは行かずとも、私のように最終学年で1回だけ参加する生徒は多いです。
もちろん、フラが好きな人や既にプライベートで習っている人は毎年参加することもあります。ただし、病気などの特別な理由がない限り、3回以上練習を欠席したすると、パフォーマンス構成やダンスの完成度を考慮して、参加を辞退させられる事もあります。
自分のスケジュールと相談して、きちんと計画を立てないといけませんね。
クイーンと8人のプリンセス
「Holoku」 での花形はクイーンと呼ばれ、12年生の女子から1人選ばれます。希望する生徒はまず、「Holoku」 運営委員会とフラマスターの先生達によって行われるクイーンオーディションで、自分で振り付けを考えたフラを披露して、実力やパフォーマンス性が認められなくてはなりません。その後、絞られた4−5人のクイーン候補がクラスメイトの前で同様にフラを披露して、投票が一番多い生徒が晴れてクイーンに選ばれます。
クイーンへの道のりは長く厳しく、最終学年だけに機会が与えられるため、フラを長年踊ってきた女子生徒達にとって憧れや夢でもあります。更に、クイーンは唯一、ソロの、自作のフラをステージ全部使って披露する事が出来るポジションです。フラを長年練習してきて自分の踊りに誇りを持っている人なら、自分の実力を試し、フラへの誇りや情熱を披露できる絶好の機会でしょう。
クイーンの他、現在ハワイを構成する8つの島々を表す8人のプリンセスがフラ委員会のオーディションで選ばれます。
チャンスはクイーンと比べて格段に割合が高くなりますが、それでも、選ばれる生徒は実力者揃いです。プリンセスは各々のソロがあるわけではありませんが、8人で息の揃った踊りを披露します。
今年度12年生ではないけれど、将来クイーンを目指そうとしている大概の生徒は、経験を積む為にも、9年生から毎年プリンセスのオーディションに参加しています。
因みに既にお気付きかもしれませんが、プリンスやキングといったポジションはありません。男子の特別なポジションでクイーンやプリンセスに一番近いものは、「Kahili Beaerer 」と呼ばれる、いわゆるプリンセスの側近です。女子に比べて地味に聞こえますが、側近達も女子と同様にオーディションで選ばれ、選ばれた8人全員でパフォーマンスを披露します。
フラに見る様々な文化
一口にフラと言っても、発祥の島や文化によってダンスのスタイルは少しずつ変わってきます。
例えばサモアの人達の伝統的な踊りは床に座って踊るパートがあったり、拍手や掛け声があったりします。タヒチアンだと衣装の装飾がかなりヒラヒラしていて、女性はパフォーマンス中ずっとと言っていいほど腰を振りながらダンスをします。ハワイアン・フラでは、女性は広がりのあるドレスを着て、テンポが少し遅めの音楽に合わせて流れるように踊ります。男性の場合はアロハシャツとクヒオレイ、そして軽快な調子の音楽に合わせて軽やかに踊ります。
このように、「Holoku」では様々な種類のフラとその文化を鑑賞出来るだけでなく、実際に踊って参加する事が出来ます。フラを教える事は文化の保持と継承にも繋がるため、大概のフラマスター、先生達は喜んで希望する生徒にダンスを教えます。
音楽の面で協力したい生徒は、パフォーマンス中のライヴミュージックとして、ダンスごとによって異なる、その文化の歌と楽器の演奏を任される事もあります。
ハイレベルなパフォーマンス
長い練習期間と参加者全員の誇りと頑張りがあって、プナホウが作り出す「Holoku」は毎年非常にレベルが高いです。参加者の家族や友達だけでなく、オアフ住在でフラに興味のある人々も見に来ます。
たった1日の2回のパフォーマンスですが、出番を終えた出演者に、観客はとても暖かく騒がしく声援を送ってくれて・・・。心から、今まで頑張って来てよかったな、こんな素敵なパフォーマンスを見せることができて嬉しいな、という気持ちにしてくれます。