留学前
2011年に高校1年生からハワイのMid-Pacific Instituteへ留学し、卒業後帰国。現在(2017年)は都内私立大学の法学部に通うMさん。これからハワイ留学を検討する方とその保護者のために、体験談をシェアしてくださいました。
「高校4年間のハワイ留学」という貴重な経験をお持ちのMさんが、BIHIの独占インタビューに協力してくださいました。ハワイ留学の宣伝ではない、リアルなお話を根ほり葉ほり聞いていきたいと思います!
初回の今回は、留学前の状況、留学のきっかけなど、渡航前についてお話しを伺います。
1. Mさんのバックグラウンド
留学前からハワイとのつながり?
この度はご協力有難うございます!
早速ですが、自己紹介を兼ねて簡単なバックグラウンドを教えてください。
こんにちは、Mです。東京で生まれ、小中学校は地元の公立に通い、高校はハワイのMid-Pacific Instituteに留学しました。現在は東京都内の大学の法学部に通っています。
ハワイに留学という事ですが、もともとハワイに馴染みがあったとか、お知り合いがいるとかでしょうか?
僕自身は特にハワイに思い入れはなかったんですが・・・。
父方の親戚がハワイに住んでいます。ハワイ留学を勧めてくれたのは父だったんですが、親戚がいる事で、「何かあった時に」という安心感があったみたいです。
「特に思い入れはなかった」とはいえ、ご親戚がいらっしゃるという事は、留学前にもハワイへは度々行ってたんですか?
ハワイは、小学校4年の時に親戚一同と3泊の旅行に行っただけです。それも、本当にただの観光です。当時の僕の海外経験は平均以下でした。と言いますか、実は今も海外はハワイしか行った事がないんです・・・。
そうなんですね!少しびっくりですが、その位の状態でも長期間の留学が可能だと思うと、きっと安心する人も多そうです。
気になる!渡航前の英語のレベルは?
海外経験はほとんどなかったとのお話ですが、日本では留学前から英語には触れていたのでしょうか?
幼稚園から留学直前まで英会話は続けていました。週1回1時間程度でしたが、一応ネイティブの先生に習っていました。なので、「外国人」への壁はあまりなかったですね。
幼稚園から中学卒業までは結構長いですね。学校での英語教育はどうでしたか?
小中学校は公立だったので、特別な授業などはありませんでした。ALTは一応いましたけど、授業に参加するのは月1、2回程度なのであまり効果は感じなかったかな・・・。受験も考えていなかったので、英会話以外は本当に学校の授業だけです。
あのたまにあるALTの授業って、意味があるのか疑問を感じますよね。でも正直なところ、英会話も週1回のレッスンではなかなか英語を学ぶことは難しかったのでは・・・?
笑顔で質問に答えるMさん
本当にその通りで、実は英会話に通うのは苦痛でした。先生は何言ってるか分からないし、自分が言いたいことも伝えられないし・・・。小学校高学年くらいまでそんな感じだったんですが、いい先生とめぐりあった事がターニングポイントになりました。少し日本語を交えて教えてもらったりして、頭の中が整理できたんですよね。
で、中学の英語の授業で、みんなとの差に気がつきました。それまで自分では気がつかなかったんですが、ずっとネイティブの先生のレッスンを受けていたので英語の発音に慣れていて、周りよりも音読が上手くできたんです。そこで自信もついたし、急にやる気も出てきて(笑)。その結果英語は比較的いい成績を取っていました。
英会話のレッスンと学校の授業で、コミュニケーションと文法をバランス良く学ぶことで、相乗効果でより力が伸びたように思います。
みんなが苦手意識を持ちがちな、授業の音読で自信がつくとは珍しいケースですね!
今思えば、英会話を止めずに続けたことが大きかったんだと思います。親に「やめてもいいよ」って言われたこともあったんですが、なんとか続けてよかったです。
お父様は海外経験があると事前に伺っていますが、 英語を教えてもらったりしたんですか?
全くなかったです。自分のアイディアを押し付けたり、レールを敷いたりはしない両親でしたから。「勉強しなさい」と言われたこともないですね。
周りはほとんどが中学受験をしてましたけど、両親からは特に何もありませんでした。留学も行って欲しいとは言われたことはありましたが、行けとは言わなかったです。そのおかげで、「やりたくない事はやりたくない」という今の僕の性格があるのかもしれません(笑)
裏を返せば 、好きな事への努力は厭わない性格でもありますね。小さい頃から昆虫採集や恐竜の図鑑を読み込んだり、地質、動物の生態、漢字など興味のある事に対しては、時間が過ぎる事も気がつかずに夢中になってしまう部分があります。
素敵なご両親ですね。「やりたくない事はやりたくない」というスタンスは「やる事を自分で決める」という点で、アメリカの教育に向いているように思います。
2. 留学のきっかけ
さて、留学に関してお父様から希望は伝えられたけれど、無理強いはされなかったという事でした。そんな中で、ハワイ留学を決断したきっかけはなんだったのでしょうか?
きっかけは高校受験です。
公立の小中学校の授業はそんなに難しくないですし、野球部も忙しかったので、中3まで学校の授業だけで乗り切ってきました。
でも僕がそうしている間に、周りのみんなは塾で受験に関する知識を得て、色々と準備をしていたんですよ。塾に行ってない僕は受験についてギリギリまで何も知らなかったんですが、友達が内申の話とかをし始めて「あれ?」って・・・。
そこで初めてどこの高校に進学するのかを考えて、それまで父親に選択肢として提示されていたハワイ留学について真剣に考え始めました。ハワイ留学をしたいと父に話したら、すごく喜んでくれた事を覚えています。
留学前といえば、皆さん「英語が堪能になりたい!」とか「国外に友達が欲しい!」など夢いっぱいの時期だと思いますが、Mさんの目標は何でしたか?
インタビューは終始リラックスした雰囲気
んー・・・実際に現地に着くまで、「これをやり遂げよう!」とか「こうなりたい!」という気負いは何もなかったです。ただ、4年間を通して自分がどれだけ成長できるのか、留学の成果に対する漠然とした不安はあったかもしれません。
日本にいた時は意識しなくても友達は多い方で、人間関係は上手くやっていたので、「新しい世界で友達を増やしたい」というような目標も特になかったかなぁ・・・。
すごく自然体ですね!(笑)
3. 年齢
「高校4年間」
高校4年間丸ごとの留学は、なかなか勇気のいる決断だと思うのですが、1年や2年間の留学は考えませんでしたか?
1、2年で帰ってくるという選択肢は始めからなかったです。高校の途中で戻ってきて日本で勝負するのは不利だと思いました。「入学」と「同じ学校を卒業する」というのはセットで考ていました。
日本の高校に進めば3年で済むところ、留学すると4年間かかってしまうわけですが、抵抗はありませんでしたか?
実はハワイ留学を決断した時はそれを知らなかったんです。準備をする中で気がつきました。抵抗は・・・ありましたね。
年齢と学年がズレた!
ハワイの義務教育は幼稚園1年、小学校5年、中学校3年、高校4年が一般的なので、日本の中学卒業後に留学する場合、年齢的にはハワイの高校2年生(10年生)となります。でも実際のところは区切りのいい9年生からスタートするケースも多いみたいですね。Mさんの場合は、どうやって学年が決まったのですか?
Mid-Pacificでは学校のエージェントが日本にいて、海外生のサポートをしています。僕も中3の時にその人のところに通って、留学準備をしました。
事務手続きとかのサポートの他、1、2週間英会話をみてもらって、そこでは英語のレベルも問題ないので10年生から始められると言われて、僕もそのつもりでいました。でも実際に現地に行ってサマー・スクールを受けたら、学校の判断で9年生開始となってしまったんです。父が学校と交渉してくれたんですが、結局9年生からスタートすることに・・・。
でも実際に学校に行ってみて、9年生スタートでよかったと思いました。その方が周りの生徒とフェアにやっていけます。10年生はやっぱりみんな学校に慣れてきてますし、大学受験までの期間も1年少ないので不利かもしれません。
年齢 | 学年 | 5・3・4制 | 6・2・4制 |
---|---|---|---|
5歳 | K | Kindergarten(幼稚園)1年間 | Kindergarten(幼稚園)1年間 |
6歳 | 1年生 | Elementary(小学校)5年間 | Elementary(小学校)6年間 |
7歳 | 2年生 | ||
8歳 | 3年生 | ||
9歳 | 4年生 | ||
10歳 | 5年生 | ||
11歳 | 6年生 | Middle School(中学校)3年間 | |
12歳 | 7年生 | Middle School(中学校)2年間 | |
13歳 | 8年生 | ||
14歳 | 9年生 | High School(高校)4年間 | High School(高校)4年間 |
15歳 | 10年生 | ||
16歳 | 11年生 | ||
17歳 | 12年生 |
参照図-ハワイ学年/年齢表
そんな紆余曲折があったとは・・・。
「どうしても日本と同じタイミングで高校を卒業したい!」という方もいると思うのですが、10年生から始められる人もいるんでしょうか?
英語ができれば大丈夫です。例えばインターナショナル・スクールから行くなら、10年生スタートも当然可能です。もしくは中学から行くのであれば、高校よりもハードルが低いので、英語力がその学年のレベルに到達してなくても、年齢相応の学年に入れるかもしれません。
結果的に現地の生徒と年齢がズレてしまいましたが、年齢の違いは気になりましたか?
現地では1つの学年にいろいろな年齢の生徒がいますし、年もあまり聞かれません。でも個人的には気にしてましたね。
デメリットだと感じたのは、日本の大学に戻ってきてからです。大学ではよく年齢を聞かれるんですよね。周りの反応が「二浪かぁ」となった時に、留学した事を話すかどうか迷います。言えば「留学キャラ」になっちゃう。でも浪人だと言うとと何となく気を遣われてしまうんです。この反応は大学によるとは思いますけど。僕の通っている大学では1浪、2浪ならまぁ大丈夫です。
女の子はSweet sixteenとかがあるので、高校在学中も気になる人は気になるかもしれませんね。でも周りは意外と気にしてませんよ。
4. 渡航前の準備
留学を決めてから、渡航前に何か準備をしましたか?
ちょっと記憶が定かではないのですが、英会話を少し増やしたような気がします。
留学前の関心は、「英語力や学業についていけるのか」という点ばかりに傾いてしまいがちですが、振り返ってみると、心の面の準備が大事だったように思います。ハワイの文化とか、自分の趣味とのつながりなどを事前に勉強して、相手の国や文化を好きになることが大事です。自分から向こうの社会に入っていく、という心構えですね。
国外で生活するというのは、熱いお風呂に急に入るようなものなので、覚悟や気持ちが必要です。僕も、もっと心構えが出来ていたらよりスムーズに進められたかも、と少し後悔があります。
留学前ってバタバタしますしね。確かに、勉強や手続きに気を取られて、気持ちの準備が疎かになってしまいそうです。これは留学する方への良いアドバイスですね。
今回はここまでです。ご協力有難うございました!
「留学にずっと憧れていて」、「家族が大のハワイ好きで」といったお話を予想していたのですが、意外や意外、ハワイには特に思い入れもなく、留学を決めたのは周りが高校受験を話題にし始めてからとのこと。のっけから優等生的な回答ではないあたり、この先のお話に思わず期待してしまいます・・・。
ポジティブに見れば、準備期間が短くとも行動力さえあれば留学は可能!ということですね。