FACTS LIFE

数字で読み解くハワイ生活 – 経済編

ごきげんよう。ゆたかです。「最新ニュースではないけれど、読んで面白い」そんなハワイ情報を定期的にお届けします。今回は数字からハワイでの生活を読み解いていきましょう。憧れから一歩踏み出して、より具体的なハワイ・ライフをイメージできるかもしれません。

「長期休暇はハワイで過ごしたい」、「留学しようかな」という短・中期のプランから「不動産を買ってみよう」、「家族で移住したい」という人生を左右する長期計画まで、検討にあたってまず気になるのが現地の経済状況ではないでしょうか。ハワイ州のビジネス・経済開発&観光局(Department of Business, Economic Development and Tourism)が、経済、社会状況など30項目についてハワイ州とアメリカの他州の数値比較を発表しています。そのうち、収入と支出に関する項目を以下に抜粋しました。

収入

ハワイ州の1人あたりの実質GDP・平均年収はともに21位と、アメリカ国内での順位は高くはありません。ただ、国税庁によると2014年の日本の平均年収は415万円ですので、数値自体は日本を上回っています。
被雇用者の平均賃金は全米平均を下回っているにも関わらず、世帯・家庭当たりの収入中央値は2〜3割も高い事から、1人が2つ以上の仕事を掛け持っている事、世帯・家庭内で複数の人が仕事をして収入を得ている事が推測できます。

ハワイ州 全米平均 差額 差% ハワイ州順位
1人あたり実質GDP $49,479 $49,844 -$365 -0.7% 21
1人あたり年間平均収入 $48,288 $48,112 +$176 +0.4% 21
全被雇用者の平均年間賃金 $46,919 $52,942 -$6,023 -11.4% 25
民間企業被雇用者の平均年間賃金 $44,393 $52,876 -$8,483 -16.0% 35
1世帯あたり収入中央値 $73,486 $55,775 +$17,711 31.8% 3
1家庭あたり収入中央値 $83,823 $68,260 +$15,563 22.8% 8

Hawaii Rankings and Comparisonsより

支出

平均収入が21位であったにも関わらず、1人あたりの個人消費支出は11位と収入の順位を上回っているのは、物価の高さを見れば納得ですね。物価指数は50地域中2位と、噂に違わぬ物価の高さです。

ハワイ州 全米平均 差額 差% ハワイ州順位
1人あたり消費支出 $42,778 $38,196 $4,582 +12.0% 11
州の収益に対する地域税負荷 10.2% 9.9% +0.3% 36
物価指数 116.8 100 +16.8% 2

Hawaii Rankings and Comparisonsより

生活費

ビジネス・経済開発&観光局は「最も生活にお金がかかる州ベスト10」というランキングも発表しています。2016年の同ランキングでは、ワシントンD.C.やニューヨークを差し置いて、ハワイが1位にランクインしました。

まず目を引くのは光熱費の高さですね。ご存知の通りハワイは離島ですので、アメリカ本土から石油やガスなどを運び、島内で発電しています。そのため輸送コストが上乗せされ、光熱費は他の州よりも高くなっています。ただ、電気使用量は住居の広さにもよりますし、湿度が低いため風通しの良いお部屋は冷房を使用する必要がないという意見も多く聞きます。
また、エネルギー事情に危機感を抱いたハワイ州政府が様々な手を打っています。一戸建てを新築する際はソーラーパネルや太陽温水器の設置が義務付けられ、家庭で発電された電力を条件付きで電力会社が買い取る仕組みも始動しつつあります。さらに州政府は2045年までに再生可能エネルギー100%という目標を掲げていますので、電気料金については今後改善が見込めそうです。

順位 地域 住居平均価格 牛乳1/2gal 牛肉1lb 月の光熱費 医療診察
1 ハワイ ホノルル 925,922 3.85 11.77 504.25 116.77
2 ニューヨーク マンハッタン 1,472,476 1.89 13.31 249.15 121.25
3 デラウェア ウィルミントン 329,684 2.28 11.25 206.57 88.33
最下位 ミシガン グランド・ラピッド 243,878 1.85 11.52 159.83 95.33

The State of Hawaii Data Book 2015 Section 14.22より

消費者支出内訳

さて、ハワイの皆さんは何にどのくらいお金を使っているのでしょう。下の表は、ホノルルの2013-2014年の年間世帯あたり支出の平均内訳です。ハワイ州が公表している項目に合わせて、日本のデータを筆者がおおまかに再編して作成しました。異なる機関がとった統計を組み合わせたものですので、詳細の正確性は保証いたしかねます。あくまでイメージを掴むためのご参考までにご覧ください。

光熱費が含まれるとはいえ、居住費が40%を超えていることに驚きます。家賃や持ち家の管理費用だけではなく、家具や設備、維持費用も含まれていますが、日本の倍以上の割合を占めています。

逆に食費は日本が25%を占めているのに対して、ハワイでは約15%にとどまっています。物価、特に食料品が高いという話をよく聞くだけに意外な結果ではないでしょうか。食費中に含まれている外食費の割合はどちらも全体の約5%程度ですので、家庭での食事による違いと思われます。ハワイの食料品は全てが高いわけではなく、種類によっては日本よりも低価格な商品も多々あります。例えばお米などは、日本よりも安い品種がある事をご存知の方も多いですよね。また、量の多いパッケージは大幅に割安な価格で購入できる場合もあります。現地の方はそういった事情を理解して、賢くお買い物をしているのかもしれませんね。

その他、保険・貯蓄に大きな差がありますが、ハワイ州の数字は年金と社会保障を含んでいます。引用した日本のデータは消費支出内訳ですので、個人が加入している任意保険のみが該当項目にカテゴライズされています。
経済状況とは視点がずれてしまいますが、14項目の1つに寄付(Cash Contribution)が入る事に文化の違いを感じますね。日本の統計には600近い項目がありましたが、「寄付金」はその他雑費の中の1項目となっています。

ハワイ・消費額 ハワイ・% 日本・消費額(JPY) 日本・%
居住費(光熱費含む) 26,980 43.2 5,180(580,210) 19
食費 9,171 14.7 6,749(755,931) 25
交通 8,714 13.9 3,777(422,980) 14
保険・年金 5,118 8.2 631(70,671) 2
ヘルスケア 3,610 5.8 1,192(133,468) 4
教育 2,508 4.0 812(90,932) 3
娯楽 1,567 2.5 2,543(284,771) 9
衣服 1,206 1.9 1,169(130,935) 4
寄付等 1,068 1.7 33(3,660) 0
その他 1,022 1.6 3,330(372,971) 12
アルコール 697 1.1 329(36,845) 1
パーソナルケア用品等 602 1.0 694(77,754) 3
読書 102 0.2 381(42,646) 1
喫煙具 123 0.2 125(14,004) 0
総計 USD 62,489 100.0 26,944(JPY 3,017,778) 100.0

ハワイ州データ:The State of Hawaii Data Book 2015 Section 13.31より抜粋
日本データ:総務省統計局1世帯当たり年間の品目別支出金額参考

さて、思い描いていたハワイ生活と比較していかがだったでしょうか。日本での生活よりも少しタイトな印象を受けましたが、ハワイというパラダイスに住むことができるなら、その程度の苦労は問題ではないのかもしれません。
実際に、2016年に発表されたState Well-being Rankingsにおいて、コミュニティへの所属意識、経済的安定、心身の健康状態などの指標から、ハワイは「全米で1番幸せな州」と報告されています。
次回は同様に統計を元に不動産、教育などの社会面に焦点を当てていきますので、どうぞお楽しみに。

BIHI
BIHI
ハワイの最新情報をお届けいたします。