2017年7月に、Department of Business, Economic Development & Tourism Research and Economic Analysis Divisionより「The Economic Impact of International Students in Hawaii-2017」が公表されました。このレポートにハワイで学ぶ留学生の出身国まとめがありましたので、ここでご紹介します。日本は何位にランクインしたのでしょうか。
出身国別留学生数
ハワイは世界中からの留学生を受け入れていますが、2015年より3年連続でトップは日本人です。2017年は3,318人で、留学生全体の30.7%を占めました。次点も3年連続で韓国で、2017年は1,061人で9.6%となりました。上位常連は日本、韓国、中国、スイスです。全体的にアジア圏の国が目立ちますが、距離の離れたスイスが比較的上位にランクインしている事が少し意外な気もしますね。ただ、ハワイの語学学校では季節によっては半数近くをスイスからの生徒が占める場合もあるようですので、自然な結果と言えそうです。
表1中各年の総計は、表中の数字の合計ではなく、ランク外の国々も含めた留学生の総数です。2016年に増加しましたが、2017年にまた下がったことが分かります。2017年の留学生数の落ち込みは、ハワイ州に限らずアメリカ全土での傾向のようです。アメリカ全土の高度教育機関にて、前年比40%の減少となりました。その点ハワイはおよそ12%の下落ですので、まだ変化は緩やかだと言えます。
尚、下記表には語学学校、マッサージなどの専門学校の短期プログラム、中高生、大学、大学院の生徒学生が含まれますが、公立学校は対象に含まれません。また、数字は回答に協力した教育機関による申告ですので、学生ビザによる入国数とは一致しません。2015年のデータは同レポートの2015年版から引用しました。
順位 | 国(2015年) | 人数(2015年) | 国(2016年) | 人数(2016年) | 国(2017年) | 人数(2017年) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 3,183 | 日本 | 4,927 | 日本 | 3,318 |
2 | 韓国 | 941 | 韓国 | 1,087 | 韓国 | 1,061 |
3 | 中国 | 815 | スイス | 815 | 中国 | 695 |
4 | スイス | 580 | 中国 | 737 | スイス | 667 |
5 | 台湾 | 356 | ブラジル | 335 | 台湾 | 242 |
6 | ノルウェイ | 324 | 台湾 | 269 | フィリピン | 180 |
7 | ドイツ | 267 | ドイツ | 178 | トンガ | 152 |
8 | ブラジル | 203 | フィリピン | 150 | ドイツ | 145 |
9 | カナダ | 160 | ノルウェイ | 144 | カナダ | 113 |
10 | スウェーデン | 156 | カナダ | 134 | ブラジル | 90 |
11 | フィリピン | 146 | フランス | 125 | ノルウェイ | 87 |
12 | ベトナム | 135 | ベトナム | 110 | ベトナム | 79 |
13 | サウジアラビア | 107 | ミクロネシア | 93 | 西サモア | 75 |
14 | マーシャル諸島 | 96 | スウェーデン | 82 | ニュージーランド | 66 |
15 | タイ | 94 | タイ | 79 | スウェーデン | 62 |
総計 | – | 10,104 | – | 12,194 | – | 10,803 |
表1. 出身国別留学生数
出身国をグループ別に分析
レポートの2015年版ではランクインした国々を4つのグループに分類し、下の表2のように分析しています。
カナダ、フィリピン、オーストラリア、イギリスなど英語圏の国が含まれている事が興味深いですね。日本人にとって留学といえば語学習得が目的である事がほとんどですが、これらの国の留学生にとっては別の目的があるという事でしょう。マッサージやフラなどの専門学校への留学や、カナダとイギリスは表2の通り気候が大きな理由かもしれません。カナダはハワイへの旅行者数や、不動産投資の数も多いため、ハワイの気候や文化への親しみや憧れが強いのだろうと予測できます。また、一般に学生ビザは他のビザと比較して取得しやすいため、経済的に余裕がある場合、言葉の壁のない「南の楽園」で合法的に長期滞在する良い手段とされているのかもしれません。
国名 | 分析 | |
---|---|---|
アジア・太平洋 | 日本・中国・韓国・台湾 | 歴史的にハワイと結びつきの強い国々。太平洋上の中堅新興国 であるフィリピン、タイ、インドネシア、ベトナムを含む。 |
新興市場 | ブラジル・サウジアラビア・ メキシコ |
市場を拡大している新興国。経済状態が良く、中間層が拡大し 続けているため、ハワイへの留学生も増える見込み。 |
寒冷な地域 | スイス・ノルウェイ・ドイツ・ カナダ・フランス・イギリス |
自国の寒冷な気候から逃れるためにハワイを選ぶ国々。今後も ハワイへの関心が衰える気配はなく、留学生の増加が期待できる。 |
太平洋諸島 | マーシャル諸島・サモア・ ミクロネシア・フィジー・ オーストラリア |
オーストラリア以外は母数が少ないため、留学生の増加は あまり見込めない。 |
表2. 留学生出身国のグルーピング
客観的なデータを通して
私たちは留学する側ですが、留学を受け入れる側の視点で集められたデータに目を通すと、また違う一面が見えてくるのではないでしょうか。ハワイは日本人が多いから・・・とハワイ留学を敬遠する方もいますが、全体の30%はさほど大きな数字ではありません。「9割が日本人」という語学学校を避けるだけで、十分に英語環境に身を置くことができます。
また、グルーピングで日本がハワイと「歴史的に結びつきの強い国」とされた事は嬉しいことですよね。不動産投資や観光業への貢献など経済的な側面ばかりに目が向きがちですが、日本とハワイには文化的にも深いつながりがあります。それもハワイ留学の安心感へと言えるのではないでしょうか。