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英語?日本語?ハワイ生活で語学力低下を防ぐために

「夏の間だけでも我が子に英語を学ばせたい」、「異文化体験をさせたい」と願う日本の保護者から圧倒的な人気を誇るハワイ。だが、実際にハワイに住むとなると心配になるのが日本語力の維持だ。

小さい子どもの英語習得の早さには驚かされるが、そのかわり日本語の衰えも早い。移住当初は家庭で日本語を話していても、現地での生活が長くなるにつれて子どもの返事はほとんどが英語となり、日本語の維持が難しくなる事が多い。

ハワイには財団法人ハワイ日本人学校が運営するレインボー学園という補習授業校があり、毎週土曜に日本語の教科書を使って日本語、算数、社会などの授業を行っている。

将来的に日本への帰国を予定している家庭や、日本語や日本のカリキュラムで学ばせたいと考える保護者が子どもを通わせる。しかし週1回1年間の登校で日本の1年分のカリキュラムを終わらせるため、 宿題の多さに悩まされる話もよく聞く。

オーナーの想いから誕生した「さくら日本語教室」

このような膨大なカリキュラムではなく、子どもの日本語力維持と日本文化への理解・関心の向上を目的に始まったのが、さくら日本語教室だ。

オーナーのリバオ先生は日本で教師として経験を積んだ後、ハワイに移住。自身の子どもが5歳の時に、日本語力の低下に危機感を覚えたことが日本語教室を開いた理由だという。28年前の当時、ハワイでは民間による日本語の学びの場がなく、自ら教室を立ち上げる事を決意。ハワイカイのカミロイキ小学校の校長先生が理解を示したことも後押しとなり、同校にて日本語教室を始めた。

次いで同地区のハハイオネ小学校でも、同様の日本語教室を開始。ハワイカイは公立学校のレベルが高いことから、日本人の保護者からも人気のある地区である。教室の評判は口コミで広がり、カイムキのキングリホリホ小学校でも教室を開始するに至った。尚、現在ではカミロイキ小学校の教室はさくら日本語教室とは異なる経営母体によって運営されている。

遊びながら日本語を習得

ハワイカイとカイムキの小学校で行われる日本語教室に通う子どもたちの約7割が、両親のどちらかが日本人というケース。家庭内では日本語を話すものの、1日の大半を学校など家庭外の英語環境で過ごすため、日本語の維持は極めて難しい。

日本語教室でも友達同士の会話は英語になってしまう事が多い。レインボー学園とさくら日本語教室の両方に通っている子どもにとっても、 語彙の増加や日本語の読解は課題となっている。

通常の学校生活をこなした上で日本語の勉強するのは子どもたちにとって大変なことだが、保護者は「将来的に英語とさらにもう1つの言語を使えることは必ずメリットになる」と信じ、子どもを教室へ通わせる。

ただそれを子どもたちが理解するのは一苦労。楽しみながら日本語や日本文化を学ばせるため、週に2回1時間のクラスでは教科書やドリルだけでなく、ひらがなのビンゴ・かるたやパズル、時には折り紙を使うなど、先生たちもいろいろと工夫されているようだ。

小学校から日本語を習うのでは遅すぎるとの考えから、オーナーのリバオ先生は2009年、アラモアナに新しく幼児教室もオープンした。幼児教室では2歳半から、遊びを通して日本語や日本文化に触れるスタイルとなっている。