全米で最も低い失業率、2.1%を記録したハワイ。しかしながら良いことばかりではないようだ。
- 労働力不足、サービス業が大半を占める構造、住宅費用の高騰により、経済成長率は高くない。
- より良い環境を求めて州外へ移住する人々も。
全米共通の問題:労働力の不足
低い失業率はハワイだけではなく、アメリカ全体の傾向だ。現在アメリカ全体の失業率は4.1%。専門家によると、来年までにさらに0.5%下がる見込み。アメリカの雇用者はすでに、募集するポジションに必要な資質を備えた人材を探すことに苦労している。この1月、求人数は全国的に最高値を記録した。
また、ハワイでもアメリカの他州でも人口が高齢化しており、ベビーブーマー世代の引退も低失業率に影響している。
ハワイ固有の問題:低賃金
ハワイ州の経済は、観光業が大きな部分を占める。ハワイで募集している仕事の多くはサービス業であり、ハワイの高騰する住宅コストをまかなえるほどの給与は出ない。昨年は9.4億の旅行者がハワイを訪れ、観光業界による労働力需要の高まりにより、ホテルやレストランの給与の低い職が更に増えた。データによると、2017年にハワイで増加した職業数のうち、60%がサービス業だ。ホテルとレストランは州の労働者の5人に1人を雇っており、これはアメリカの他州の約2倍。
オアフの住宅中央値は$770,000。U.S. Census Bureauによると、47%のハワイの住民が月の収入の3分の1を住宅の賃料に当てている。これは他のどの週よりも高い。4分の1に至っては、収入の半分を住宅関連に費やしている。
この状況に見切りをつけて、若い世代がより良いチャンスを求めてアメリカ本土へ出て行くようになった。昨年は差し引き1000人以上の人々が州外へ移動した。オアフでは、1日あたり11人ずつ人口が減っている。
結果的に・・・
現状を打開するには、より待遇の良いテクノロジー関連の企業誘致も一案だが、ハワイ州の住宅とビジネスコストの高さによって誘致は難航している。テクノロジー関連の企業はその代わり、ユタやコロラド、アイダホなどよりコストが低い州へ移っている。
雇用側は、労働力確保のためにインセンティブの追加や時給の向上、公立高校での職業訓練の提供などを行っている。ハワイのヘルスケア大手、Hawaii Pacific Healthは高校でトレーニングプログラムを提供し、受講した生徒は卒業後すぐに同社で働くことができる。
結果的に有効な対策を講じることはできておらず、ここ10年間、ハワイの経済成長率は全国平均よりも低い。2009年からの全国年平均経済成長率は2.1%だが、ハワイは1.6%。ハワイほど失業率が低ければ、年3%は経済が成長してしかるべきだと経済学者は分析する。経済の停滞によって、ハワイでは将来的に公的年金債務や高速道路などの高価なインフラの支払いが難しくなる可能性がある。
(ホノルル・スター・アドバタイザーより引用)
コメント
低価格帯の住宅建設には力を入れていると聞きます。ただ、開発できる土地が少ないため、住宅建設のために土地の名目を変更したり、都市部の低価格帯アパートはホテルやコンドに併設されていて工事に時間がかかったり、なかなかテンポよくは進まないのでしょうね。ーユーコ
ハワイではIT技術によるサービスが、他の州(国)よりも劣っている感じがします。おそらく徐々にこの格差は縮小されていくと思いますが、せっかくの観光資源を無駄にしないよう努力したいですね。 ーKID