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日本人ハワイ移住から150年、多くの記念イベントも開催予定

日本人移住150周年を記念して

2018年の今年は、日本人が初めてハワイに移住して150年の記念の年。最初の集団移住が明治元年(1868年)であったことから、日本人移住者は元年者(がんねんもの)と呼ばれている。

150周年を記念して「150th GANNENMONO Celebration」というサイトも立ち上がり、今年1年は多くのイベントが予定されている。3月にホノルルのコンベンションセンターで開催されたホノルルフェスティバルでも、関連したブースが設置された。ブースで行われた、日本人がハワイに移民してから現在までの歴史を紹介するセミナーに参加した。

日本人移民

1885年に結ばれた契約のもと、ハワイ王国と明治政府双方の合意を受けて、さとうきびプランテーションのオーナーは主に福島県、新潟県、広島県、山口県、福岡県、熊本県、沖縄県などの地方から労働者を雇用、それにより多くの日系移民がプランテーションで働くためにハワイに移住した。当初は3年間の労働契約であったが、3年が経過しても多くの日本人がハワイに残り、プランテーションの仕事を継続したという。

戦時中の強制収容

しかしその後、第2次世界大戦開戦。1941年には真珠湾攻撃が行われた。ハワイに移住した日本人はアメリカにとって敵国民となり、指導的立場にあった数人がまず収容された。当時ハワイでは日系人が人口の4割近くを占めており、それだけの労働力全て収容することは難しかったと言われている。

1941年12月7日には、400人以上の日系人がホノルル湾のサンド島に立てたテントやハワイ諸島の別の場所に収容され、その後オアフ島中部のホノウリウリ収容所や米国本土の収容施設に移された。最終的には2000人以上の日系人が様々な収容施設に収容された。しかしながら、米国本土の日系人がほぼ全て収容された一方で、当時ハワイにいた約15万の日系人のうち収容されたのは約2000人と割合が微小であった事もあり、ハワイでの日本人強制収容について語られる事はあまりない。

ハワイ生まれの日系二世、後のアメリカの上議員のダニエル・イノウエ氏もハワイで収容された一人。戦後ハワイ州選出の議員となったイノウエ氏は上院仮議長を務め、これはアメリカの歴史上アジア系アメリカ人が得た地位としては最上位のものとなった。没後、2012年には彼の功績をたたえ、ホノルル国際空港がダニエル・イノウエ空港と改称されたほど、ハワイでは英雄として知られている。

米国兵士として参戦

真珠湾攻撃の時点で、既に多くの日系二世が米国陸軍やハワイ州兵の一員として防衛の任務についていた。ハワイの日系人からなった部隊として有名な「第100大隊」は、1942年6月、約1400名の二世兵士によって編成された。兵士は密令によって船でサンフランシスコに送られ、部隊の名前は現地に到着して初めて知らされたという。

また、ハワイ大学の学生であった二世たちは、米国民として戦争に従事する機会を求めて米国陸軍に嘆願書を書いた。これを受けて「大学勝利奉仕軍」が作られ、銃後の守りに活躍した。
「第100大隊」と「大学勝利奉仕軍」の働きを見た米国政府によって設置されたのが、日系アメリカ人による戦闘部隊である「第442連隊」だ。

上述のダニエル・イノウエ氏も「第442部隊」に所属して第二次世界大戦に臨んだ。2万人以上の日系二世が、「第100歩兵部隊」、「第442連隊」、「軍事情報部」、「第1399工兵大隊」の4つの米陸軍で立派に任務を果たしたと言われている。特に「第442連隊」はアメリカ史上、最も多くの勲章を受賞した部隊として知られる。「軍事情報部」は暗号の解読を、「第1399工兵大隊」はオアフ島の防衛施設を建築した。

戦後の日系人

米国人として大戦に参加したハワイの日系人は、日本人としてのアイデンティティを失ってしまったのだろうか。いや、日系一世によって伝えられた日本人としての価値観は、後世にも脈々と受け継がれた。

それらの価値観は、「恥」、「恩」、「我慢」、「頑張り」など、現代の日本人にとっても馴染みあるものばかりだ。大戦後も日系人はその価値観を心に、学歴を得て各分野の要職に就き、日系人の位置を確立した。現在は年月を経て、日本人としての価値観はハワイの地元の人たちとの価値観と混ざり合い、ハイブリッドなハワイ日系人の文化を形成している。

カリフォルニアにも多くの日系人がいるが、カリフォルニアの日系人とハワイの日系人では価値観が違うように感じる。ハワイが日本人にとってそれほどの違和感もなく過ごせるのは、ハワイに非常に多くの日系人が住んでいたこと、またそれに似たアジア系の人たちが住んでいたことと関係があるように思う。

今年は今後、6月1日から12月15日までホノルルのビショップ美術館で「元年者展示会」と題してその歴史を紹介するほか、6月6日にはシェラトンホテルで150年のエキジビションが開催、秋篠宮ご夫妻もハワイ訪問を予定している。