BIHI - ハワイろぐ -

ハワイ東海インターナショナルカレッジのカウンセラー、袰岩さんに聞く

オアフ島カポレイにあるハワイ東海インターナショナルカレッジ(HTIC)は、米国短期大学士を取得できるアメリカの短大の一つ。そこで学生カウンセラーとして働く袰岩奈々(ほろいわ なな)さんに取材した。

ハワイ東海インターナショナルカレッジ

HTICは、ホノルルの中心カピオラニに1992年に開校、2015年にオアフ島西のカポレイに移転した。現在学生数は約150名、日本にある14の東海大付属高校の卒業生が集まる。10名程度ハワイの地元学生もいるが、ほとんどが日本で教育を受けた学生たちである。入学後約1年は英語強化という形で、その後は通常の授業として英語漬けの日々を過ごす。夏休みも通して授業を受ける形で2年〜3年で卒業、その後日本の大学の3年次へ編入する人、アメリカメインランドの大学に行く人、ハワイ大学に行く人など様々だ。

袰岩さんは、ハワイ東海インターナショナルカレッジ(HTIC)で週2回学生カウンセラーとして勤務している。学生の悩みは多岐にわたる。将来アメリカで働きたいが、両親が日本の大学に戻ってきてほしいと進路に関して親と意見が違う、学生同士の人間関係、ここアメリカでは宿題が非常に多く、日々のエッセイやプレゼンテーションなどの宿題の多さに疲れている・・・など。

学生カウンセラーとして個人の学生のカウンセリングを行う以外に、月に1、2回ワークショップも開催している。その時々によってテーマが異なり、「自己表現を学ぶ」、「自己肯定感を上げる方法」など。方法は、例えば自分の良いところを書き出してみたり、今日うまくいったことを3つ書き、なぜうまくいったかを一緒に考えてみたりする。学生達のやる気を引き出すきっかけになれたらと、毎回の企画を考えている。

寮生活と授業の相乗効果

学生に寄り添い、そばで成長を見守る袰岩さんだが、HTICに通う学生達の英語の上達には目をみはるという。「入学したばかりの頃は英語が喋れなくても、2年半後の卒業時には、ネィティブとはいきませんが、英語を問題なく喋れるようになりますね」と、続ける。日本人がほとんどの大学内でも、英語で考え、話す生活の結果は出ているようだ。

HTICの寮は校舎と同じキャンパス内にあり、初めの2学期間は寮生活が義務付けられている。寮では学校の生徒会組織がイベントを開催するなど、学生たちがスムーズに生活できるよう、学生同士が仲良くできるよう配慮している。その後は、ホームステイやシェアハウスなどに移ることもできる。キャンパスがカポレイに移転してからキャンパスと寮が同じ敷地内となり、以前カピオラニに校舎があった時より全体の学力が向上しているという。

ハワイ移住のきっかけはグリーンカード当選

袰岩さんのハワイ移住は、ご主人がグリーンカードに当選したことがきっかけ。2010年にグリーンカード抽選に当たり、まずは中学2年を終了した娘さんと袰岩さんがハワイに移った。その後、息子さんも学校のタイミングを見ながら1年遅れて渡米し、今は3人生活。ご主人は仕事の関係上まだ日本で生活し、休み毎にハワイを訪れる。ハワイ移住の決断について、「子どもの教育、そして英語圏で勉強させたかった」とその理由を話す。今では娘さんはハワイ大学に進み、下の息子さんも現地校の高校生だ。

ハワイに越してきた当初は、ボランティアに精を出していた袰岩さん。「ナデシコ・クラブ」にて、東日本大震災復興支援ためのボランティア活動を積極的に参加し、実際被災地にも赴いた。他にも「Kids hurt too Hawaii」という団体で、親を亡くした子供のためのサポートに力を尽くした。その後下のお子さんが中学生に上がって車の送迎の必要がなくなり、ハワイでの生活もだいぶ慣れた頃から、日本語の新聞社である「ハワイ報知」に約2年半勤務。

その後、現在のハワイ東海インターナショナルカレッジにカウンセラーの職に就き、ワークショップを開いて様々なテーマについて学生たちに教えている。

永年の経験をもとに、次のステップへ

カウンセラーを志したのは学生の頃。大学では農学部に籍を置いた袰岩さんだが、学生時代に知り合ったカウンセラーにリクルートされ、不登校の子どもたちの訪問相談を体験し、「こっちのほうが自分に合っている」と進路を変更。その後その教授の下、カウンセラーの仕事を行うようになり、大学院卒業後は大学の学生へのカウンセリング、個別のカウンセリングと心理学の授業などの非常勤講師を勤めた。

現在は「Living Ohana」というNPOで、月に1度乳幼児への英語と日本語での本の読み聞かせも行っている。乳幼児への本の読み聞かせは、言語表現や情緒の成長の上でも有効であるということが実証されていると袰岩さんは話す。「実際、4ヶ月くらいの赤ちゃんで言葉がわからなくても、音読のリズムにじーっと耳を傾けている。胎教にもいいと言われている」と袰岩さん。

袰岩さんのカウンセリングの仕事のキーは「子どもから大人まで、その人のもてる力を引き出せたら」と話す。じっくりと話に耳を傾け、その人自身の中にある力を発揮するのを妨げているのは何かを一緒に探り、感情の整理を手伝ったり、具体的な解決策を探したりしている。
「ハワイのメンタルヘルスカウンセラーなどの資格を取れるようにがんばりたい」と今後の抱負を語ってくれた。