ハワイにて若くして2代目社長に
2代目社長の中谷さんは若干28歳。早稲田大学を卒業し、飲食のコンサルタント会社に入社した。当初は、4、5年ほど勤めてから父親が経営するハワイの会社を手伝おうと思っていたという。しかし2年後、ハワイの店のマネージャーがいなくなりお店を閉じるかどうかという時に、日本の会社を辞めてハワイに移った。2014年のことである。
落ち着いた雰囲気の店内
それから中谷さんが社長となり、居酒屋「心（しん）」を仕切った。「心」はワイキキから少し離れた場所にあり、人気の炉端焼きを始め、美味しいものをゆっくりと食べることができる場所が売り。隠れ家的な雰囲気の「心」はハワイに住む日本人、日系、親日系の韓国人と顧客を増やしていった。最近は白人もちらほらと来店する。
「ハワイは村社会。つながりが大事なので、不動産セミナーや地元の会合にも顔を出す。東京ではシェフやマネージャーさんが顔見知りというのはかなり少ない。でもここではそれが必要。色々なところに顔を出して、自分を知ってもらうことに力を注ぎました。」と中谷さんは話す。
ランキング1位を獲得する店舗に成長
そんな中谷さんの努力もあり、今年開催されたハワイのグルメ、お土産、ツアーなど50のカテゴリーに世界中のハワイファンが投票するランキング「111-HAWAII AWARD」にて、日本料理（居酒屋含む）で1位になった。
111-HAWAII AWARD授賞式にて
「炉端が売りですが、大衆居酒屋というスタンスなので、いろいろなものが注文できるようになっています。もちろん『心』のオリジナルメニューも作っています。1月にはおせちと日本酒を始め、きき酒イベントを、その他ワインの試飲イベントも計画しています。」
日本資本の飲食店出店はこの先も続く
最近多くの日本資本のレストランがオープンし、フードコートのような集合体での出店も重なるハワイ。今後の情勢について、中谷さんは次のように見ている。「まだまだしばらくは日本からの出店が続くでしょう。最近ではカカアコ地区も注目されていますし、フードコートやフードトラックなども出店が続き、もうすぐ飽和状態に。そして淘汰の時代に入っていくでしょう。」
ハワイで飲食業を営む難しさ
笑顔で働くスタッフ
また、ハワイでのレストランビジネスについては、どうしても食材を州外からの輸送に頼るために仕入値が高いこと、また旅行者人数など外的要因に左右されるため読みづらいところもあるという。ただ一番の難しさは人財であると話す。
こちらでも笑顔
人材で悩まされることは多々あるが、自分の変わりとなる人財を見つけるのは特に難しい。教育をしながら、チーム内でよく話せる環境を作るため、フランクな関係作りに力を入れているという。現在は従業員の3割ほどが日本からやってきたビザ取得組だ。年に2回の食事会をしながら、ここで働くことの楽しさを見つけてもらえたらという。
今後の展開
今後のビジネスについて伺うと、ハワイが一段落したらアジア、アメリカ本土にも進出したいとのこと。「会社勤め時代に新規海外事業部に配属され、マレーシアや中国への新規事業を勉強させてもらえた。会社勤めが2年という短い期間だったのが、かえって良かったのかもしれない。会社人として型にはめられる前にハワイに移ってこなくてはならず、それが今の自分のビジネスに役立っているのかもしれない」と話す。
年内にも新規バーをオープン
「ハワイには夜遊ぶ場所が少ないんですよ」と話を続ける。「心」で食事を楽しんだ後に日本人が安心していけるバーをオープンするため、現在準備中だ。11月中のオープンを考えているそのバーは「Heart Moon」と名付け、キングストリート沿い「心」の近くに出店予定だ。100人程度収容でき、カラオケルームも3つある。ローストビーフを売りのメニューに、ププ（簡単な夕食）も注文できるということだ。
バーではお客さん同士、あるいはバーテンダーも含めて役職に関係なくフランクに話せる場所だと、中谷さんが学生時代に働いていた時からその魅力を感じていた。「低価格競争ではなく、一定以上のサービスと味を突き詰める。今の飲食業界はそういった方向へ概念が変わろうとしている。また実際に業界を変えていきたい」と、今後のさらなる改革を目指して内なる思いを語ってくれた。
＜111-HAWAII AWARDとは＞
111-HAWAII Projectコンセプト動画
ハワイのNPO団体JHTAとハワイ・日本の企業5社によって運営されるハワイ州観光局公認プログラム。オンライン投票によるハワイ・ランキングで、ハワイ のグルメ・お土産・ツアーなど 50 カテゴリーから、日本・ハワイ・世界に住む日本人ハワイファンによる投票で、それ ぞれのベストランキングを決定する。10月に今年のランキング結果が発表された。ランキングはこちら。