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無認可高齢者ケア施設 ハワイ州が対応を模索中

ハワイ州では急激な高齢者の増加に対応するケア施設の数が追いつかず、「Aging-in-place」施設と呼ばれる無許可の入居型ケア施設が増えており、州政府は対応について議論を重ねている。

  • 2010年から2016年にかけて、ハワイでは65歳以上の人口が25%、約49,000人増加した
  • ケア施設の運営ライセンス取得には数年かかるケースもあり、ライセンスの無い施設が横行し始めた

無認可「Aging-in-place」施設増加の背景

「Aging-in-place」は一般的に、高齢者本人が選択した場所で、生活の質を維持または向上させながら、必要な助けを得て最期まで暮らす事を指す。「Aging-in-place」施設はそのように暮らす場所を提供する施設であり、AIP施設とも略される。

ハワイの高齢者人口は急激に増加しており、高齢者のケア施設の需要も高まっている。地域によっては州政府はそのペースについていけず、既にその対応に遅れが出ている。そういった状況の中、州のケアホーム・ライセンスを受けるには何年もかかり、認可後は州の監督を受ける必要もある事から、AIP施設が増加した。関係者はここ数年で200以上のAIP施設がオープンしたと見積もる。

AIP施設運営者は、AIP施設は州のライセンスを必要とするケアホームではなく賃貸不動産であると主張している。入居している高齢者は、住まいに関しては賃貸同意書にサインし、それとは別にホームヘルスケアの契約を結んでいる。しかしながら、州はどのような居住施設でも、金銭を受け取って親族以外にケアを提供するものはDepartment of Healthのライセンスが必要であるとしている。

ハワイ州で初のAIPへの指導・閉鎖

カリヒに住む女性が自宅で経営していた無認可の「Aging-in-place」に今年10月20日、検事総長事務局から、違法なケアホームの営業を停止するよう通知が届いた。このケースは、ハワイの住宅を拠点とした無認可高齢者ケアモデルへの初の処置と見られる。通知を受領後、女性は入居者の新たな受け入れ先を手配し、施設を閉鎖した。
女性はケア施設の申請後3年間待ち、ライセンスが下りない事から、該当施設の運営を開始した。フィリピンで看護師としての訓練を受けた彼女は、ハワイでもかなり早い段階でAIP運営を始めた経営者の一人だ。彼女は施設運営を始めてから今年に至るまで、Department of Health、Human services、Attorney generalの訪問と勧告を受けてきたが、何故施設の運営が違法であるか書面による説明は一度もないまま、今回の通知を受け取ったという。

関係者のコメント

「AIP施設との違法な競争は不公平。」
(ライセンスを受けたケアホーム運営者)
「ライセンスの無い施設は、さらに多くの高齢者と弱い立場の人々をリスクに晒す危険性がある。ライセンスのシステムがあることでDepartment of Healthは、ヘルスケアサービスを受ける高齢者を守り、安全な環境を保証することができる。」
(Department of Health)
「問題解決のために、ライセンス発行のプロセスが効率的に短い時間で済むよう見直している。この問題について優先的に取り組む。」
(Department of Health)
「AIP施設は州の資金を受け取っていないため、規制のグレーゾーンにある。」
(州議会議員)
「入居者への虐待やネグレクトもあり得るため、州の監視が望まれていることは理解しているが、AIP施設は、至れりつくせりの完全な看護サービスは必要としない高齢者へ代替手段を提供している。更なる議論が必要だ。」
(州議会議員)

(ホノルル・スター・アドバタイザーより引用)

コメント

本土の富裕層のリタイアメント後の高級なケアホームは盛況と聞きますが、一般向けのケアホームは官民連携がまだまだ機能していないようですね。Democrates の牙城のハワイ州としては頑張りどころだと思いますが、モノレール事業同様、慢性的な州の予算不足が根底あるのかもしれませんね。ーBubble Age

バケーション・レンタルに次いでハワイ不動産の使用用途の問題として、AIP施設に関するニュースを最近よく見かけます。ーユーコ

日本でもハワイでも高齢者施設の認可・ライセンスに関しては行政の準備が整うまでに長い年月と経験を必要とするみたいですね。ーKID