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ハワイで美容室を開業、来年のカリフォルニア進出を見据える -「 FINCA」坂本和也さんインタビュー

美容師としてハワイへ

北海道出身の坂本和也さん。札幌でヘアカットの仕事を始めた後東京へ渡り、銀座、新宿、池袋などの支店で店長を経験。そろそろ海外にも行ってみたいと思ったのが30歳。自身でワーキングホリデーの制度を使って海外に行こうとも考えていた頃、坂本さんが店長として在籍していたAUBEのオーナーと、同様に全国に店舗展開しているAguのオーナーの共同出資でハワイに美容室を作ることに。坂本さんが抜擢されてハワイ行きが決定した。

彼自身も出資してビザを取得し、ハワイに渡ったのが30歳の7月、2015年であった。「ハワイについては、リゾート地っていうイメージしかなく」とハワイへ来た当時を語る。お店の名前は「FINCA」。移住はしたものの、店舗工事は未完の上、日本と違って何事もテンポが遅く、そのギャップに悩まされたという。

ハワイ生活開始!

知り合いがいない1人のハワイほどつまらないものはないと、まずはシェアハウスに住み、人脈作りから始めた。1年が経つ頃には、サーフィンやゴルフなどの趣味を通して知り合いが増えた。また、車社会のハワイで車を運転するようになり、やっとハワイ生活が軌道に乗り始めた。ただ、「こちらでは車を買う時もクレジットヒストリーを求めらる。日本ではそのような習慣がないけれど、ハワイではクレジットの履歴がないとローンも組めない。そんなところから始めました。」

口コミも味方につけ、順調な船出

一方、仕事が軌道に乗るのは早かった。11月にオープンして翌年の2月頃には黒字に転じた。会計士によると、このペースはハワイのビジネスの中ではとても早い方らしい。

坂本さん曰く、「ハワイの人たちは、新しいお店ができるととりあえず一回行ってみるという方が多い。その後、その店の情報が一気に口コミによって広がる。改めて口コミの凄さを知りました。オープン前は、サロンが大学に近いということもあり、学生世代のお客様が多いかなと予想していたのですが、オープンしてみたら主婦層のお客様が多かった。そこで小学生のカットを15ドルにしたところ、大反響でたくさんの方に当店を知っていただくきっかけになりました。」と成功の秘訣を話す。

坂本さんが体験したように、美容室に限らず、ハワイの口コミネットワークは大きな力を持つ。「FINCA」の場合は、15ドルのカットに惹かれて小学生の子供を連れてきたお母さんが、15ドルで本気でカットとスタイリングまでするのを見て、ママ友の間で評判を広めた。

日本人美容師の需要

東京で生活をしていた時には、「海外移住」をする人というのはごく限られた人であり、そのような人に出会うのも稀なことであった。しかし自身の移住後、国際結婚によってハワイに移住した多くの日本人を目にして、数の多さに驚いたと言う。その数の多さは日本人美容師の需要にも結びついている。

また、ハワイの美容室は「日本」を1つのブランドとして日本人を採用している。「FINCA」でも、ビザを所有する日本人やグリーンカード保持者を3名雇用している。ローカルも住んでいる日本人も、日本人美容師の技術に対する期待が大きいのだ。

「ハワイもアメリカなので、本当はアメリカ人を採用した方がいいのですが、ハワイはある種特殊な場所だと思います。やはり日本人のお客さんは、日本人美容師にカットしてもらいたいという希望が強いです。ハワイに住んでいる日本人は驚くほど多く、日本の文化や日本のお店もたくさんあり、ロコのお客さんも日本が好きな人が多く、日本に行かなくても日本の美容室に行っているような感覚を求めていたりする、そんな意味で日本人美容師が求められています」と話す。

アメリカでは美容室の一席を借りて店を持たず個人事業として営業している美容師も多く、その中には日本人もいる。日系サロンも最近新しく出来てきている。それでも店舗を構える店はスタイリスト不足で悩んでいることが多く、まだまだ日本人美容師の需要は満たされていないという。

次のステップへ

ハワイの良さについて、坂本さんは「人が優しく、また独特の空気感があるところ」と話す。日本の美容師が在籍する美容室のほとんどがワイキキやアラモアナにあり、坂本さんのようにマノアに開業するケースはあまり多くない。坂本さんは、マノアでの仕事はストレスがなく、この場所を気に入っていると話す。
「FINCA」にはハワイ在住の日本人だけでなく、ローカルのお客さんも来店する。「日本人だけでなく、他のアジア人や白人のカットも意欲的に挑戦したい」と坂本さん。来年にはカリフォルニアにもサロンをオープンさせたいと夢は広がる。ただハワイに来てからたくさんの人に優しくしてもらい、坂本さんはハワイがとても好きになったという。「カリフォルニアとハワイを行き来できるような生活ができればベストですね。」