わずか人口140万人のハワイには大小含めて130校もの私立学校があり、そこへ通う子どもの割合は全体の約20%に上る。ただ、年間の授業料は安くない。オバマ元大統領が卒業したプナホウスクールは年間22,000ドル、他の学校も15,000ドルから20,000ドルが相場だ。物価の高さに給与水準が伴わないハワイでは、授業料が私立進学の大きな壁となっている。しかしながら公立学校は選択肢に限りがあり、音楽や美術などの情操教育まで十分に手が及ばないことを考え、多くの保護者が私立を選択する。
今回はそんな私立校進学熱が加熱するハワイの人気私立校の一つ、ハワイ大学の近くにあるMid-Pacific Institute(ミッドパシフィック・インスティチュート)の渉外・入学管理事業部副学長、スコット・シーグフリードさんに取材した。
Mid-Pacific Instituteは、1864年と1892年に設立されたハワイの歴史ある学校「カヴァイアハオ女子神学校」と「ミルズ男子校」が合併し、1908年に先進的な教育機関として誕生した。2004年エピファニースクールとの合併により、さらに幼稚園と小学校が加わった。特にテクノロジー、アートプログラムは評価が高く、広く認知されている学校である。
国際バカロレアプログラム(IB プログラム)を採用している点も魅力の1つだ。IBプログラムは知識、21世紀を生きるためのスキル、独自の論理的、創造的な思考、そしてグローバルな認識を育てる事に力をいれている。IBディプロマの保持者は大学入学時に非常に有利で、多くの生徒が世界各国の一流大学入学時に1年分相当の単位を与えられる。
平均クラスサイズは幼稚園が18人、小学校が20人、中学校が20人、高校生が18人と少人数で教師の目が行き届く規模だ。プリスクールから高校生まで計1500人以上が学び、内留学生は100人を超える。日本からが一番多く40人超、その他中国、韓国など15カ国からの学生を受け入れている。
留学生コーディネーターのステファニー・トリウミさんと渉外・入学管理事業部副学長のスコット・シーグフリードさん
留学生の受け入れは7年生(日本の中学1年生)を対象としており、ほとんどの留学生はE2ビザを持つ保護者に同伴する形でハワイへやってくる。入学後はELDと呼ばれる英語補強クラスを、各個人のレベルに合わせて通常の授業と並行して履修する。ELDは2年間で修了し、その後は他の生徒と同じように授業を取る。留学生をサポートするコーディネーターもおり、留学生の生活や語学などの問題などに対応する。
また、同校は2016年春から日本の早稲田実業学校と提携を結んでいる。夏休みには早稲田実業学校の生徒がMid-Pacific Instituteのサマー・プログラムに参加し、7月から8月にかけての2週間、英語、ウクレレ、演劇などを学んだ。サマー・プログラムでは生徒だけではなく、同伴した保護者もフラやウクレレのコースなどを受講する事ができる。Mid-Pacific Instituteの生徒も、昨年12月に早稲田実業学校を訪れてフラのパフォーマンスを披露し、書道などを体験した。同校では日本に限らず、今後も活発に国際交流を継続する方針だ。